筆者の住む町では「保護犬」の譲渡先となるためには、行政が指定するのドッグトレーニングを受ける必要があります。かつては、このトレーニングの外部講師は「支配性理論」を主とするトレーナーでしたが、ここ最近は、流れが変わりましたね。
こんにちは。「支配性理論」は人間に対してもNGだと思っている、不動産屋の2代目社長とっくんです。
皆さまは、犬のしつけで【支配性理論】を実践しているドッグトレーナーのことを聞かれたことがありますか?
【犬のしつけ】支配性理論には反対!!【観察眼】を身につけよう
「犬と共に暮らす」ということは、人間同士が一緒に生活するように問題が生じることがあります。例えば、犬が「噛む・吠える・暴れる・自虐行為」などを抱える飼主さんは、日々悩み、解決策を求めています。
飼主さんの中には、こうした気苦労が限界に達して、犬と共に暮らすことを諦めて、保健所などに持ち込む人もいます。
犬が持つ、人に悪影響を与える行動をどのように解決させるかというのは、飼主さんの課題だけではなく、ドッグトレーナーらの課題とも言えるでしょう。
【専門家によって異なる】犬へのしつけの方法?!
ドッグビヘイビアリストの課題でもあります。この課題に取り組むべく、専門家たちはさまざまな方法で解決に取り組んでいます。これらは10人の専門家がいれば、10通りの方法があるほどです。
その中でも、20年以上前に犬の「問題行動矯正」のノウハウとして、マスメディアで多く取り上げられ、全国の愛犬家へのドッグトレーニングに【支配性理論】というものがありました。
【支配性理論とは?】飼い主がボスとなり犬を支配する
これは、飼主がボスになり、犬を支配するという考え方です。犬は群れで生活する動物だから、群れの中での順位が決まっている、という理論を前提にしています。オオカミの行動研究に基づいたものです。
2000年以降【支配性理論を否定する流れ】が出てきた?!
これは、犬とオオカミは違う動物だという視点から、オオカミの行動や習性は犬に当てはまらないと考えるところからスタートしています。
さらに、オオカミの行動研究も進み、一概に『支配性理論がオオカミにも通用しない』ということが判明しつつあります。
こうしたこともあり、米国や日本においても、『支配性理論の問題点が取り上げられる記事』が多く見られるようになりました。
アメリカのプロフェッショナルドッグトレーナーズ協会(APDT)の見解
とっくんは、アメリカのドッグトレーナーの論文などもいくつか目を通しました。
プロフェッショナルドッグトレーナー協会は、犬を理解し、行動を解釈し、犬の仲間と調和して生活することに関係しているため、『支配理論』を重視することの影響について、一般の飼い主への啓蒙活動にも力を入れています。
一般的な考え方とは異なり、自然の生息地でのオオカミの研究では、オオカミはパックの中で最も攻撃的なオス、またはオスとメスのペアである「アルファウルフ」に支配されていないことが示されています。むしろ、オオカミの群れは人間の家族がどのように組織されているかと非常によく似ており、「支配」のための攻撃や戦いはほとんどないことがわかりました。
https://apdt.com/resource-center/dominance-and-dog-training/ から和訳
(アメリカのプロフェッショナルドッグトレーナーズ協会(APDT))
【反支配性理論】の流れの中で「陽性強化型訓練」がメジャーに?!
「支配性理論」では犬の行動に対して、主に罰を用いて対処します。一方で「反支配性理論」では犬の行動を罰を使わず、犬が望ましい行動を取った時に褒めることで対処します。
これを「ポジティブレインフォースメント(陽性強化型)訓練」と言います。最近では、このやり方が多くの支持を集めてきています。
ところが、ここで、新たな混乱が生まれてきます。「陽性強化訓練」のみを行い、「陰性強化は行わない」という専門家が増えてきました。いわゆる「犬は褒めてしつける」というものです。
「陽性強化訓練」は飼主さん(特に女性)には受け入れられやすく、支持されやすい側面もあるようです。しかしながら「犬を褒めることだけ」では、犬の問題行動はなくならないようです。
【犬の行動を観察するという考え方】ドッグビヘイビアリスト
近年はこれらとは違う、新たな理論を実践する人が増えています。それは「動物福祉の向上を優先する」というものです。
例えば、犬に何かを教える際には、主に「陽性強化型訓練」を用います。しかし、飼育環境が悪ければ陽性強化の訓練を行っても意味がないと考えます。
どんなに犬を褒めたとしても、犬をケージに閉じ込めてストレスが多い環境においていれば、問題行動は改善できないと考えます。
また、問題行動の改善には、それぞれの犬の「個体の性格・飼育環境・飼主の性格」によっても、その方法論は異なってきます。
ですから、犬については、科学的な知識を持つことは大前提の上で、犬の特性や飼主に合わせて、方法論を専門家自身が考えながら教えるということを実践しています。
↑ とっくんが読んで一番参考になった本です。
【ドッグビヘイビアリスト】は犬を尊重する ~対処の仕方
こうした「犬を尊重する」という姿勢を問題行動のある犬に限らず、全ての犬に同じように用います。人間が犬へ「何らかの要求を犬に伝える」場合、犬を尊重しなければ会話は成立しないでしょう。犬側から見れば「理論は人間側の思い込み」でしょう。ですから、人間側の「理論」とやらを押し付けられる犬側は、勘弁してよ!という感じでしょう。
「絶対的な答え」はないのでしょうが、少なくとも「犬にトレーニングをしなく」ても、犬のニーズを満たすことで犬から信頼を得て、問題行動が改善されることがあります。
この時、一切の訓練も行わないのにも関わらずです。仮に「問題行動」が治まったら、人とのコミュニケーション方法を犬に教えます。この時には「陽性強化型訓練」は大いに役に立ちます。しかしこれも、背景にある「犬のニーズが満たされている」ことが前提です。
まとめ:【犬が発するメッセージを読み解く】信頼関係につながる!!
生物の世界での、人間の「理論」などは、時代が変われば内容も異なります。「支配性理論」にしても「ポジティブレインフォースメント」にしても同様です。
こうした理論に走るよりは、むしろ、自分が飼う犬と誠意をもって正面から向き合えば、問題を生じたとしても「解決策」はあるはずです。
彼らは一生懸命に、素直にメッセージを発していますし、これを読み解く力を人間側が身につけることが前提でしょう。